Eurogear: 360° デジタルシフト
ビジネスのデジタル化を検討されていますか?当社では、イタリア産スポーツウェア販売代理店であるユーロギア社のデジタル化への取り組みを支援し、複数店舗型Eコマースプラットフォームの構築、SNSを通じたデジタルマーケティングの強化およびデジタル化に適したコーポレート・アイデンティティの設計を行いました。
一元化による生産性の向上
ユーロギア社はイタリア産のスポーツウェアおよびプロテクターの販売を行っている日本総代理店です。主にモーターサイクル分野に特化しており、Dainese、 Ducati、 VR46など世界を代表するブランドを取り扱っています。これらのブランドはすべてモーターサイクル分野で有名なものですが、市場におけるそれぞれのポジショニングやターゲット顧客は明確に異なり、それぞれがロイヤリティの高い熱烈なファンを有するブランドです。したがってユーロギアとしては、ブランドごとに異なるオンラインショップを構築し、各ブランドのブランド戦略やマーケティング方法を忠実に再現する必要がありました。複数のECショップを管理することはそれなりの利点がある反面、製品カタログやコンテンツ、売上、顧客情報を別々に管理することはかなりの手間でもあります。
ユーロギア社からDucati、VR46、Ducati Scramblerのオンラインショップ構築のご依頼をいただいたことで、我々はこの課題に真っ向から立ち向かうことになりました。当社が提案したのは、それぞれのブランドが独立したオンラインショップを持ちながらも、一元的にすべてを管理できるポータルサイトを作ることで、すべてのブランドを容易にマネジメントできるという手法でした。Magentoというカスタマイズ性に優れたECサイト構築プラットフォームを採用し、すべての顧客・売上情報をSalesforceが提供するCRMソリューションに集約するという方法を提案しました。
特に重視したのがモバイルユーザーのショッピングエクスペリエンスの向上で、3つすべてのショップサイトにレスポンシブ・デザインを採用することで、ユーザー端末の画面サイズに合わせてコンテンツを自動的に再構築・最適化できる機能を実装し、ページを美しく表示させる工夫を凝らしました。
Ducati Scrambler
Ducatiブランドの象徴的存在であるDucati Scramblerは、クリエイティブで奔放かつ自由な精神を持つ若い世代向けのブランドです。ブランドの特徴でもあるイエローとテクスチャを重ねたベージュのコンビネーションカラーを採用することで、カジュアルながらもクールな印象のECサイトを作り上げました。デザインにおいては、ブランドの世界観が際立つイメージ写真を主に引き立てるものに仕上げました。加えて、サイトの見た目や雰囲気を既存のDucati Scramblerのカスタムバイク用のサイトに近づけることで、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供しました。サイトの公開はDucati Scrambler原宿店の開業に合わせて行われました。
VR46
VR46はMotoGP界の唯一無二のレジェンド、バレンティーノ・ロッシがプロデュースしたブランドです。ロッシのスピリットとスピードへの情熱を想起させるデザインとして、スクロール動作に応じたパララックス効果を実装することで、ダイナミックな印象を与えるホームページに仕上げました。ロッシのトレードマークカラーである鮮やかなイエローと背景色のブラックとのコントラストを効かせることで、よりスポーティーで活発な印象を与えるサイトを目指しました。機能面では、サイトとブログを直接連動させ、最新の投稿をホームページに表示させることで、コンテンツを容易に発信できる設計にしました。製品ページに便利なフィルター機能を搭載し、サイズ、価格、色、性別などで製品を検索できるようになり、ユーザーにとって快適なブラウジングを実現しました。
Ducati Gear Tokyo
Ducati Gear TokyoはDucatiブランドのアパレル製品を取り扱う正規代理店です。そのECサイトとして、世界から愛されているDucatiのイタリアンスタイルと、時代を超えたファッショナブルなデザインを表現できるサイトを目指しました。シンプルでミニマルな見た目にこだわりながら、写真を活用することでブランドを目立たせるだけでなく、売上につながる見せ方として、美しいアイテムを前面に押し出すデザインにしました。VR46のサイトと同様に、フィルター機能を搭載することで快適なブラウジングを実現し、ユーザーのショッピングエクスペリエンスの向上を目指しました。また、Ducati Gear Tokyoのブログをホームページに掲載しているため、訪問者はここから最新情報を得ることが可能です。
3ブランドの一元管理
3ブランドがそれぞれ独立したオンラインショップを持ちながらも、すべてのショップを一つのプラットフォームで一元的に管理できるソリューションを構築しました。これによって、3つのショップで発生した注文を一つのインターフェースで閲覧・管理できるようになり、複数のプラットフォームを行き来する手間が省け、日々のEC運営をスピードアップさせることが可能になりました。製品やコンテンツはブランドごとにタグ付けができ、フィルター機能を活用した一括編集機能も利用できるため、すべてのショップのコンテンツの追加、削除、更新を一つのインターフェースから容易に行なえるようになりました。
統合型CRM
上記に加えて、Magentoを一つのSalesforceアカウントと連携させることで、3つのショップから得られた顧客情報がブランド別にタグ付けされ、CRMプラットフォームに自動的に送信されるようになりました。これによって顧客情報を手動入力する手間がなくなり、顧客がいつ、何を購入したのか、アカウントの使用状況などの貴重な情報を獲得できるようになりました。また、実店舗で入手した顧客情報を手動で追加・編集し、店舗のロケーション別にダク付けすることもでき、オフライン・オンラインの両方から得られたブランド別の顧客情報が一元的なCRMシステムで管理可能になったことで、ターゲットを選定したうえで、より重要なコンテンツを発信できるようになり、同時に幅広く顧客を理解することが可能になりました。
顧客エンゲージメント
Daineseはモーターサイクルおよびアウトドアスポーツ用のプロテクションにおける新たな定番を生み出し続けているイタリアを代表するブランドで、ユーロギア社はその大手販売代理店です。ブランド・エクイティを確立し、既存のファンを惹きつけ、O2Oを強化するために、ユーロギア社の依頼のもと、日本市場におけるDaineseブランドのマーケティング戦略の立案と公式Facebookアカウントの管理を請け負うことになりました。当社が設定した目標は、Facebook上で毎日関連コンテンツを発信することで「いいね」数を増やすこと、リーチ率を向上させること、全体的なファンエンゲージメントを高めること、そしてECサイトと実店舗へのトラフィックを増加させることでした。
Daineseブランドを日本市場向けにローカライズすることも課題の一つでした。日本市場に対応するため、LINEアカウントの開設も行いました。LINEにはチャットのような気軽さでフォロワーに対して情報発信を行うことができるという強みがあるため、Facebookで発信するような一般的なコンテンツではなく、プロモーションやキャンペーンなどのニュースを発信するチャネルとして特化することで、フォロワーに対して不快感を与えない配慮を行いました。
コンテンツについては、Daineseのイタリア版のFacebookアカウントから転用し、英語から日本語に翻訳したものもあります。投稿の多くはMotoGPレースや新製品の写真・ニュースで、日本版のアカウントに投稿することで、ブランド・エクイティと認知力の向上に寄与しています。これに加えて、タイムリーな製品情報やキャンペーン情報など、日本市場に特化したオリジナルコンテンツの配信も行っています。これらの投稿は日本での口コミを広げ、オフライン・オンライン両方のトラフィックを増加させることを目的としています。その成功例として、Facebook上で写真コンテストを実施し、お気に入りのDainese製品の写真をアップロードしてもらう企画を実施した結果、「いいね」数の急上昇が認められ、顧客エンゲージメントの向上につながりました。
ソーシャルメディア以外の取り組みとして、D-air® Misano 1000の発売に即し、レスポンシブなランディングページの作成も行いました。さらに、Daineseから提供された英語のコンテンツを、日本市場に響くように翻訳・編集を手がけました。またMisano 1000のプロモーションビデオも日本語に吹き替えた上でサイトに掲載しました。
ユーロギアのブランド戦略
事業拡大を視野に入れ、ユーロギア社は、すべてのブランドを統合した新しいコーポレート・アイデンティティを確立することで、若い世代の顧客をターゲットとしたブランディングを目指していました。すでに同社とは別のプロジェクトで協力体制にあったこともあり、当社を信頼してアイデンティティ形成を委託していただきました。
まず初めに共同のブレインストーミングを行い、コーポレート・アイデンティティを通して伝えたいデザインやイメージに関する基本的な方向性を定め、同時に同社の希望やニーズの洗い出しを行いました。議論の末、モノクロの色合いを採用し、キーワードとして「都会的」「最先端」「ヨーロピアン」「ライフスタイル」「スポーティー」が選ばれ、また、モノグラムロゴを試してみたいとの希望が挙がりました。
次に、デザインを提案するためにキーワードを3つのグループに絞り込みました。
- ダイレクション1: 都会的、ミニマリスト
- ダイレクション2: メカニカルスポーツ、ダイナミック
- ダイレクション3: モダンビンテージ、ヨーロピアン
審議の末、モノグラムロゴを採用したダイレクション3をたたき台として採用することが決まりました。現代的でスポーティーな趣向を加えたロゴを実現するために、古風に見えるセリフフォントから、モーターサイクルブランドが多く採用している、太字で丸みの強いサンセリフフォントに変更しました。
ダイレクション3
より洗練された印象にするために、ユーロギアの「e」と「g」に遊び心を加え、会社名そのままのものや短縮形の「EG」など、様々なパターンのロゴを用意しました。最終的に、丸みのある自然な見た目から、会社名全体を現すアルファベットの「e」を小文字、「g」を大文字にし、平行四辺形で囲んだロゴが選ばれました(下記参照)。
まとめ
デジタル化により業務管理・遂行を簡素化、自動化、効率化することで、ユーロギア社の利益の向上に貢献でき、これによって同社は、必要な所に資源を集中させることができるようになりました。また、同社との長期にわたる協力関係があったおかげで、同社のビジネスに最適なサポートが実現できました。今後も同社との関係性を深めながら、当社のデジタル戦略、デザイン、コーディング、マーケティングに関わる知識を存分に活用し、ビジネスが抱える弱点克服に向けた継続的かつ包括的なソリューションの提供を進めて参ります。